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菅平高原実験センター赴任にあたっての抱負

高木 悦郎 2013年6月

  6月1日より菅平高原実験センターに赴任いたしました、木悦郎と申します。この3月に学位を取得したばかりの未熟者ではありますが、よろしくお願いいたします。

  この地球には、3,000万種以上ともいわれる多種多様な生物が生活しています。それらの生物は、個別に生活しているのではなく、生物同士が関わり合いを持ちながら生活しています。 私はこれまで、植物と昆虫の関わり合いを明らかにしようと研究をしてきました。最近よく耳にする「生物多様性」は、種類の多さだけでなく、そのような生物同士の関わり合いによって生み出されています。 特に、植物と昆虫の関係は、陸上生態系の極めて高い生物多様性の維持に大きな役割を果たしています。

  私は特に、果実や種子と動物の間の関係を解明することを目的とした研究をしてきました。 ミカンやナシといった果実や、松の実のような種子は、人間をはじめとした多くの生物にとって資源となっています。 特に、肉厚な美味しい果実によって鳥類を誘引し、その種子を散布させる、という植物と鳥類の間の関係や、果実や種子をダメにしてしまう昆虫の研究が盛んに行われてきました。 こうした関係は、1対1の直接的な2種の間の関係です。しかし、最近になって、複数の1対1の関係が、植物の形や質を介して影響を及ぼしあっていることが明らかになってきました。 例えば、モチノキタネオナガコバチという昆虫に寄生された種子をもつ果実は、緑色のままで秋に赤色になりません。一方で、鳥は赤色に熟さない果実を食べません。 つまり、モチノキタネオナガコバチという昆虫は、果実の色という形質を介して、鳥に影響を及ぼしているのです。こうした関係は、植物の形質を介した間接相互作用と言います。 こうした間接的な生物間相互作用は、自然界に多く存在している可能性が高いことが分かってきました。 生物同士が、1対1の直接的な関係だけでなく、間接的にも関わりあうことで、生物多様性が維持、促進されているのです。 菅平高原やその周辺には,ブナ林,ミズナラ林,高山植物,針葉樹林や湿原といった多様な環境が存在しています。 こうした環境のなかには、まだまだ新たな間接的な関わり合いがあるはずです。 それらの発見と解明を行っていきたいと考えています。

モチノキタネオナガコバチ
モチノキタネオナガコバチ


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