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Bonn大学大学院生、インターンシップで滞在

2013年5月29日

  トビムシの頭部形態の研究をしているドイツ・ボン大学の大学院生Peter RUEHRさんがインターンシップで町田龍一郎教授の比較発生学研究室にやってきました。 卵、胚の解剖や、切片などの組織学手法、昆虫比較発生学の論考法の習得が主な目的です。 7月末までの2か月間の滞在での修行を予定しています。

  昆虫比較発生学は、形態学の盛んなドイツを中心にした欧米で発展し、昆虫形態学に大きく貢献してきました。 しかし、発生生物学、分子発生学が急速の進歩を遂げているのに反して、そのテクニックや方法論が難しい純形態学的な昆虫比較発生学は継承されにくく、世界で昆虫比較発生学が発展し続けているのは日本だけとなりました
  このような状況の中、昆虫比較発生学の高いポテンシャルは世界的に強く再認識されています。 ここにあって、そのような昆虫比較発生学を自身の研究室で始めようとしたとき、どうしたらいいのでしょうか。 日本以外では継承が途絶えていますから、その「種」を日本に求める以外、どうにもならないのです。
  今回のボン大学の大学院生の修行はまさにこれです。Peterさんがその「種」をドイツに持ち帰るのです。 まさに日本がドイツなどから導入した比較発生学、その「逆輸入」です。 「昆虫比較発生学の種」をさらに良いものとし育み、学問の「レフュージア」を守り続け発展させる義務がある、今回、私たちはその気持ちを新たにしています。

  なお、菅平高原実験センターは「筑波大学・ドイツ学術交流会(DAAD)パートナーシップ・プログラム(筑波-DAAD 共同研究プログラム)」に 「六脚類(広義の昆虫類)のグラウンドプラン、高次系統の再構築−比較形態学と比較発生学の統合−」を申請します。 今回のインターンシップは本プログラムの最初の試みです。

*昆虫比較発生学は絶大な力を発揮します。そのことは、世界26研究機関(本センター比較発生学研究室は8コア拠点の一つ)による昆虫類1000種(1K)のトランスクリプトーム解析による大規模データに基づいた昆虫類の系統進化の解明を目指す国際プロジェクト、「1000 昆虫トランスクリプトーム進化プロジェクト1K Insect Transcriptome Evolution Project (1KITE)」(2012年1月17日のHPで紹介)で証明されました。 詳しくは町田研究室HPブログ( http://insectembryology.qlookblog.net/2013/05/29.html )をご覧ください。


町田先生によるピンセット研摩の指導




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